街で見かけたアノ人このこと

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バスで見かけたご婦人

バスを待つ長蛇の列、20分以上待ち、ようやくバスが到着、『ドッコイショ』と一言発してバスの階段を一段一段登山道を踏みしめる様に上り、料金投入口の前で『フ~』と一息入れた後、やおら財布というよりもガマグチを、長年愛用していそうな煮しめた様な苔色のビニールの手提げから出しながら『いくら』と聞いた後で、『あ~そうそう忘れてた』と高齢者無料パスを取り出し運転手に見せるや否やとって変わって脱兎の如き素速さでシルバーシート以外の席にドッカと腰をすえ大股開きで『ふ~暑い暑い』と独り言を言い、次の停留所で瞬く間に降りるご年配の女性。

こういった方は、判で押したようにバスが走り出して社内アナウンスが始まるか始まらない内に次ぎ降りますのブザーを押します。おそらく乗り越すことを心配してのことかと。降りる時も一段一段・一歩一歩確実に。

心の中でつぶやきました『いずれ誰しもに訪れること、他人事ではない高齢化』

 

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内閣改造

小泉内閣改造の日の夕刻、新橋駅前における某テレビ局街頭インタビューで『小泉内閣が改造されましたが、ご感想は?』と自称美人インタビュアーにマイクを向けられ、酔眼をパチクリさせながら、急にマンマルに目を見開き『えっ!総理大臣は中曽根さんじゃないんですか?もう辞めたんですか?そ~ですか、いや~知りませんでした。はっじゃあ竹下さんじゃないんですか? ほ~宮沢さんでも無い? どうも教えて下さって有難うございます。』と、ビックリとガッカリが同居した表情で一息つくサラリーマンさん。

帰宅の途上でたまたま遭遇した私は、深夜のニュースで彼の登場を期待しましたが、あえなく没になった模様です。

心の中でつぶやきました『言論の自由を !! 』

 

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居酒屋百景(その1)

『長年の御贔屓(ごひいき)ありがとうございます。都合によりXX月末日をもって閉店させて頂きます』(実質後1週間に閉店)という紙切れが目の前に貼って有るにも関らず、カウンタに腰掛けるや否や、おしぼりを持って来るよりも早く『ボトルは?』と質問を発し『いや無いです』と答えると『じゃ~一本いれちゃいましょ、社長』と調子よく、もみ手をモミモミする店員。

この前来た時は社長じゃなくてお兄さんだったぞ !! 『後一週間で閉店でしょ』と追及すると『旦那、強そうだもん入れちゃお』と平然と受け答える。この野郎、社長と言っておきながら、舌も乾かない内に次は旦那か?

さて待つことしばし、ボトルが用意され一杯目のロックで舌を湿した上で『さて、つまみは、・・・・・』と言い出そうとしたその瞬間『ラストオーダーですが、どうしまっか?』。

さっきととって変わったこの態度。この店員さんも珍しい人入りさせましょう。

私は心の中でつぶやきました『利益重視の効率的経営ここに有り』

 

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朝の緊急事態

一言で言うならば『東京駅・大腸・核爆発・紳士』と命名します。

痛勤の雑踏でごったがえす朝の東京駅、体内に緊急事態の発信を覚える諸氏も又数知れず、需要と供給のアンバランスから来る単純明快な待ち行列が今日も今日とて高温多湿のサウナ状態と化した男子隠し所に展開されておりました。

拙者、足踏みしながら、ぐっと堪える続けること10分、やっと列の先頭に踊り出て後は開かずの扉が開くのを待つばかりです。

そして待つこと更に5分、開かずの扉が快音と共に開いたその瞬間、どこからともなく初老の紳士が額に脂汗とも冷や汗ともつかぬものを滲ませ、前屈みに右手で下腹を押さえながら今にも倒れそうなか細い声で『誠に恐縮ですが、先に入らせて頂けないでしょうか?』と、哀願する様な潤んだ瞳で見上げるではありませんか。

此処で武士の情け無くして、何が情けよ。『どうぞ、どうぞ、ごゆっくり !! 』拙者、小さな親切を行った満足感に、しばし、差し迫るものを忘れかけたその瞬間、大陸間弾道弾爆裂、三原山大噴火、日光華厳の滝怒涛の滝壷、五月雨を集めて早し最上川、いずれを持っても形容しがたい連続大音響に一同思わず、水を打った様に静まり返り、行き交う人も又立ち止まる、正にストップモーションにかかった様な現象に相成りました。

この大音響が荒瀬のがぶり寄りにも似て何回となく連鎖してこだました後、先ほどの紳士が満面笑みを浮かべ満足感に恍惚とした表情で扉の中から登場したのであります。

『誠に助かりました、お礼申し上げます』、『いえいえ、誰でも辛い時はお互い様です』先刻の事態も何のその良い功徳をしたといい気持ちになって扉の中に入ってみるや『この野郎、ちゃんと流せ』。

正に落ちがついた話でございました。

 

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キャッシュコーナーの年齢不詳オバサン

閉店まで余り間もない銀行キャッシュコーナーでの出来事であります。各端末の前に2~3人の列ができておりました。

先程から拙者の前のオバサンとおぼしき女性が悪戦苦闘しています。何分にも、このオバサンの山にも似た後姿からは端末に向かって何をしようとしているのか垣間見ることすら出来ません。

突然オバサンが振り返るや『ニッ』と微笑み拙者に話し掛けてくるではありませんか。突然の事態に背中に冷や汗が流れます。

『あの~、これは誕生日を押せばいいの?』

ムム、ど~も暗証番号を打ち込みたい模様。

『え~と、昭和何年何月何日って押すの、それとも19何年何月何日って押すの?』

ムム、ど~も厄介な事になりそうだ。

『ね~ど~したらいいの、おせ~て』

『キャッシュカードを作られた時に登録した暗証番号を押せば良いのですよ』

『だから、誕生日でしょ、そこまではわかってんのよ』

『暗証番号は4桁の数字です。大概は誕生日とか憶え易い番号にしている様です。もし誕生日なら月日を暗証番号にしている人が多いですよ』

『そうね、年(ねん)を入れたら歳(とし)ばれちゃうもんね』

『アタシ、元旦生まれなのよね、めでたいでしょ』

『は~、確かにオメデタイですな !! 』

『でも1月1日じゃ4桁にならない。んも~誕生日言わせて何かたくらんでるんでしょ』

『滅相もない。きっと0101って押せばいいんじゃないですか』

オバサンは端末に向かって操作し始めました。

『アンタ、うまくいったわよ。でもね~、アンタにも分かる様な番号じゃ意味無いから変えてもらお』

気がつくと、オバサンと拙者は、辺りの冷たい視線を一身に浴びておりました。勿論、オバサンはそれに気が付く訳ありませんけれど。

 

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注文の多い喫茶店

学生風の男が二人、駒沢公園の喫茶店にごくごく普通にさりげなく入ってきました。

学生アルバイト風のウェートレス嬢が、こぼれる様な笑顔と共に、こぼれる様な水とおしぼりを置きオーダーを聞きます。

『カレーライス2つ』

程なく、先程のウェートレス嬢が福神漬けとラッキョウが八文目に盛られている縦5cm横10cm深さ5cmの四角いガラスの容器とスプーンを置いて去って行きました。

普通であれば、ここで美味しいカレーが運ばれるまで楽しい会話の一時となる筈です。

ところが、この二人、突然何を思ったのか、いきなり福神漬けとラッキョウを猛烈な勢いで食べはじめました。

その食べ方たるや誠にスマートかつスムースであり、がっつく風には見えず、サラブレッドが四肢を躍動させて疾走するが如き風情でした。

ものの数分後、件のウェートレス嬢が待望のカレーライスを運んで来た時に片割れの男が、さりげなく一言発しました。

『これ、お願いできますか』ウェートレス嬢は『ア、すみません、入っていませんでしたか』と答え、素早く再び八文目に盛られた容器を持ってきました。

数分の後、このテーブルの主が別のウェートレス嬢にさっきと同じ調子でさりげなく声をかけました。

『これ、お願いできますか』このウェートレス嬢も『ア、すみません、入っていませんでしたか』と答え、同じように八文目に盛られた容器を持ってきました。

この時点でカレー自体に、殆ど変化がありません。マニュアル通り何の疑問をはさむ余地無く粛々とサービスは続けられました。

彼らがカレーライスを食べ終わるまでの数10分の間、この喫茶店のウェートレス嬢の人数分、この利益につながらない注文が繰り返されました。

彼らはいったい何の目的でこの様なことを行ったのでしょうか。又、この一挙手一投足を最後まで見届けた私はいったい何なのでしょうか。

 

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銀行攻略大作戦(その1)

世に言う銀行員も珍しい人の仲間ではないでしょうか。

高学歴かつ優秀な人材を集め、役所を更に小型化した様な官僚的体質を持ちながら、建前上は絶対にそんな事は無いといった体質を繕い、あの慇懃無礼な笑顔の裏に隠された我等庶民を小馬鹿にしている本心が見え隠れする、そしてケツの穴の小さいこと。

ここでの登場人物は、ごく平凡なサラリーマンA氏です。A氏はタクシーに乗ろうとしましたが、生憎1万円札しかないことに気付きました。目の前が銀行でしたので、急いで両替しようと行内を見渡しましたが、自動両替機がありません。

仕方なく案内嬢に問い合わせると『当支店では両替機は設置しておりません。両替依頼書をご記入の上、普通預金の窓口にお並び下さい』とマニュアル通りの笑顔で対応してきました。

『急いでいるんですが、一万円を千円札10枚にしてくれませんか?』、『依頼書に記入して頂くことになっておりますので。』ピシャリと規則を適用されてしまいました。

何と鉄壁の防御、柔軟性が無いことよ。A氏の逆襲の炎はメラメラと燃え上がった。

『依頼書の他に住民票とか健康保険証、免許証の類はいらないんでしょうね』A氏は、すて台詞を残して依頼書記入に着手しました。

ここで、A氏は、依頼書を単純に記入したのではつまらない、何とかするべき事はないのかと一計を案じました。

まず、住所欄に、〈福島県会津若松市大字朝寝字朝酒〉と記入し、

氏名欄に〈小原 正助〉と記入して窓口に提出しました。

待つこと10分(たかが両替に、この待ち時間が、怒りの火に油を注ぐ。)窓口嬢の気取った声が行内に響き渡る。『オハラ様』ここでは、絶対に名乗り出ません。暫く後に『オハラ ショウスケ様』ここで、数回呼ばせた後に名乗り出ます。

これだけなら、大して面白くない自己満足に過ぎませんが、これで味をしめたA氏は、次々と並んでいる銀行に挑戦する挙に出ました。

使用した名前は、以下の通りです。(勿論、フリガナ付きです。)

四鞠 (しまり)  亮高(りょうこう)
正来(まさぐる)  茂美(しげみ)
大紀伊(おおきい)  玉雄(たまお)
近藤(こんどう)  武蔵(むさし)
火砦(ひとりで)   益男(ますお)
早来(はやく)  史大(したい)
笛良(ふえら)  千代(ちよ)
久里戸(くりと)  律(りつ)
奥(おく)飛騨(ひだ )  進(すすむ)
鬼頭(きとう)  珠生(たまお)
ダスキン玉川(だすきんたまがわ)営業所
臼井(うすい)   守金(すきん)

行内にこの様な言葉(名前)が響き渡ったのでありました。

銀行もさるものこの様な攻撃に対抗する為に最近では、番号札による呼出しを行うようになってしまいました。さてA氏の次なる逆襲は如何に !!

 

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痛勤車内を仕切る怖面倶梨伽羅紋々極道爺さん

毎朝の痛勤(痛筋)の辛さは年々歳々厳しさを増しています。植木等の歌にもある様に

毎日揺られる 満員電車

いや~な課長に 頭を下げて

貰う給料 十万なんぼ

愚痴を言うまい こぼすまい

こ~れが男の 生きる道

とか

借りた定期券でビクビク乗って~

人の新聞 横から覗き

混むのを幸い 女の子にさわり

人のズボンで 靴磨く

みっともないから およしなさい

もっとデッカイこと 何故できぬ~

小生もしがないサラリーマン、痛勤に身をすり減らす毎日です。

今朝も前日来の潜在疲労をひきずりながらの整列乗車。ドアが開くや否や降りる人の隙あらば即座に乗り込む人を横目に、群集に押し流されながら、やっとの思いで吊革を手にしマイポジションの確保にホット一息といった次第です。

座席に着くなど夢のまた夢、吊革を確保できただけでもラッキーと言えます。

通勤電車内の不公平、運不運を上げれば枚挙にいとまが有りません。

座席や吊革の椅子取りゲームにはじまり、ギャルに囲まれて味わい深い顔をしている果報者もいれば、二日酔いのオッサン達に囲まれて息もできない不幸のどん底にあえぐ人達も数知れません。

最近では、何を血迷ったか女性専用車両などを設けた男(暗にオヤジ)蔑視政策は、目に余るものがあります。

関西の女性専用車両は何となく関西得意の冗談ぽく受け止めることができますが、関東のそれは、嫌味以外の何者でもありません。

自分を含め世のオヤジは、襟を正してこの逆境に立ち向かおうではありませんか。

(この問題は又別の項で取扱ってみたいと思います。オヤジはオヤジで正しいオヤジ像を確立すべきです。この様な状況を招いただらしないオヤジから脱却する必要があると思います。)

さてさて本題に戻りましょう。吊革を確保し、ホット一息、おもむろに周りの景色を眺めて、アット驚く為五郎(相当古い)、隣に何やら怪しげな人。

足元から徐々に視線を上げてゆくと、乾ききった関節に白い豆(魚の目)がちらほらする素足に雪駄履き、黄土色ともカーキ色ともつかぬ作業ズボン、ここまでは、何かとよく目にする服装ですが、その上がロープ網のランニング、そのランニングの格子越しに鯉が滝上りしている様な紋々が見えるではありませんか。

ヒャーっと絶句しながら、興味本位からその顔を見ると、千代の富士の親父そっくり、結構苦みばしった良い男。だけど、決して目を合わせてはいけません。

髪の毛は白髪鬼とでも言いましょうか。耳にはショートピースをはさみ耳の穴には百円玉がはまっています。

競輪通いの定番スタイルでしょうか。サウナや銭湯でも刺青/サングラス/雪駄履きは禁止なのに、何でよりによって朝からこうなの、いや~本日の運の無さを呪いつつ、なるべく関らない様に吊革にもたれて狸寝入りを決め込んでいました。そうこうする内に途中駅に停車。小生の斜め前に座っていた爺様が降り、空いた席に今乗ってきたオバサンが素早く抜け目無く座ろうとしました。

本当にズ~ズ~しいオバサンだと思ったその瞬間、千代の富士の親父が床下より湧き出る様なドスが効いた声を発しました。

『それは、あこぎと言うもんじゃ、コレコレ立ちなされ』たったこの一言で、小生など百年たっても太刀打ちできそうもないオバサンが、何と素直に従うことか。

やはり目には目をか、力が有る奴は座るのも楽だな~、どっちもどっちだなと思ったその瞬間、『それそれ兄さん最前よりお疲れの様子、座り成され』とおっしゃるではないですか。

小生、顔から火が出る思いながらも、恐怖に膝を震わせながら、素直かつ誠実に指示に従いました。

世の中理屈ではありません、パワーです。この千代の富士の親父いやこれからはご尊父と呼ばせて頂きましょう、返す刀で、大分以前から座ってた野郎どもを立たせ始めました。

いぎたなく寝込んでいる肥満サラリーマンを『もうよかろう、サアサア交代じゃ、立ちなされ、そこの御仁ずっと立っていてお疲れじゃろうに座りなされ』何と一言一言に含蓄があること。

人間て何でこんなに素直なんだろう。周りの人間がざっと10人は交代したでしょうか。何と予想に反して爽やかな朝となりました。

それからというもの、電車の中に千代の富士のご尊父を探し求める小生なのでした。

 

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アッパレ自称助平爺さん

夜も8時を過ぎ、どんよりとした雰囲気に包まれた混雑率100%程度のいつもより多少すいている帰宅電車内での出来事です。

車内には、話をする人も無く電車の走行音の中に吊革が軋む音が虚しく響いています。

そうこうする内に途中からペチャクチャうるさいOL2人組が乗車してきました。

その容姿から察するに、太ることを結構気にしてダイエットは試みるのだが、夜中のラーメンの魅力には抵抗できず、グルメ情報に至極敏感に反応してしまう自分に気がついていないといった感じです。

給料の大半をファッションに投資し、ルイヴィトンか何がしかのブランドを必ず一品携帯するタイプではないでしょうか。

生活姿勢としては、表面上の清潔に神経をとがらせ、間違っても自分の服と親父の下着を一緒に洗濯することは無いでしょう。

上司と年下の男性にやたらと厳しい、むしろ一種の反感を持っている方々ではないかとお見受けしました。

聞きたくなくても聞こえてしまう会話の内容から経理関係の仕事に従事されている模様です。

やれ『課長は給料貰い過ぎ』だの『部長がせこい経費の使い方をする』だの、多分、後40年も同じ話題が続きそうな勢いです。

こういう方々は長生きするものです。美人薄命とは、現状打破の願望も込められているのでしょうね。

所で、すぐそばに、いましたいました隠れたヒーローが、競馬か競輪の帰りに一杯ひっかけてウトウトと気持ちよく扉にもたれて安眠している所を突然妨害された模様です。

この爺さんが、我々を代弁して突然怒り出しました。

『うるせえ、静かにしろ!』

『何よ、オジサンに関係無いでしょ。仕事して疲れている所で、何話したって勝手でしょ』

『うるせえ、こちとらだって仕事の帰りだい、兎に角うるせ~たらうるせ~んだよ、静かにしやがれ』

と2言3言、言い争う内に何を思ったかこの女ども奥の手を出して

『ちょっと、触らないで下さいよ』

『バッキャロ、そんな汚いねえ体に誰が触るもんか。全然触ってね~じゃないか、それじゃまるで、パチンコ屋で入りもしないのに出ねえぞって怒鳴るのと同じだってんだ。てめえみて~のをなセックスハレンチってゆ~んだよ。悔しかったら俺の体に触ってみろ、気持ちいいから』セクシャルハラスメントの事らしいのですが、分かり易いですね。

『んも~、このど助平爺い』

『ど助平爺い結構じゃね~か。こちとらしょっちゅう呼ばれてら~な。てめ~らなんか、淫売だの売女だの公衆便所だの呼ばれて見ろ』失う物が何も無い人は強い !!

『何よ、この酔っ払い』

『酔っ払いで悪うござんしたね、酔っ払いは明日の朝になればしらふに戻るけど、てめ~のブスは明日になっても変わりゃしね~ぞ、このすっとこどっこい』

『も~やだ、あたし降りる』女共は悔し涙をうっすら浮かべて、うなだれて降りて行きます。

『よ~姉チャンたちよ、今度会う時は下着かえときなよ、あばよ』

正に爺さんの完勝です。今乗って来た人達は、爺さんと女達の関係をいぶかしんで、首をかしげながら車内に入ってきました。

名誉やプライドを捨てれば人間は力強く生きられるものなのですね。

 

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駅便に出没する関西出身のタワゴトおじさん

いつもながらに混雑する新橋駅構内の便所での出来事です。

脂汗と冷や汗を滲ませながら、せわしなく微動し、順番待ちをする人で溢れていました。

そこへチャーリー浜に似た中小企業の営業マンとおぼしき御仁が登場です。

入り口にたつなり『ワッ、なんぎなこっちゃなっ』と大声を発し、ズボンをたくし上げながら列の最後尾に並びました。

その後、それとは無く聞こえる音量で、つぶやき始めます。

『孝行したい時に親は無し、言うけれど、ウンチしたい時にはトイレ無しでんな』

『古里は遠きにありて思うもの、言いますが、駅のトイレ近きにありて遠きものでんな』

『虎穴に入らずんば虎子を得ず、尻穴すぼめれば事故を得ずでんな』

『臨機応変、便器豹変ですな』

『ヘンゼルとグレーテル、チルチルミチル、便出るぐっと出る、じりじり満ちるでんな』

『天衣無縫、便意無謀でんな』

『10問正解して夢のハワイに行きましょう、10分我慢して夢のトイレに行きましょう』

『腹の中煮えくり返って、大腸ククレカレーですわ』

『大山鳴動して鼠一匹、大腸鳴動して放屁一発』

『ファイト一発オロナミンC、放屁一発ゴロナミンピー』

『北原白秋、痛腹悪臭』

そうこうする内に、やっと件のオジサンの番になりました。扉の中はアラビックリ、便器の端に流れに逆らう粘着物が年代物の上に被さる様にこびりついているではありませんか。

『なんやこれ、ペンキ塗りたてやない、便器塗りたてと違いまっか』

このオジサンの我慢のコツは頭を使って気分転換を図り、緊急事態を少しでも遠ざけることにあった様です。この新戦法、諸兄のご参考となれば幸いです。

 

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